〔四〕 せんたくなどを表す言い方

1. いっそ-思いきって, の意味. 文の後半は强い希望(きぼう)や決意(けつい)などがくる.
(1) 卒業してもいい仕事がないのなら, いっそ今すぐだいがくをやめて仕事を探(さが)そうか.
(2) こんな狹(せま)い日本で一生暮らすより, いっそのこと外國へ移民(いみん)できたらと考えている.

2. かえって-結果が予想(よそう)していたこととはんたいの場合.
(1) このくすりをのんだら, かえって痛みがひどくなった.
(2) 大事故があったのに, NASAはかえってロケットのかいはつに力を入れるとはっぴょうした.

3. むしろ-二つのものの中で, どちらかと言うと一方の方が度合いが强い場合.
(1) 東京の夏は, バンコクよりむしろ暑いくらいだ.
(2) みんなの前で恥(はじ)をかくくらいなら, むしろ死を選びたいきもちだ.

〔五〕「こ·そ·あ·ど」を使った程度を表す言い方

1. こんなに(そんなに, あんなに)-人や物事の程度や狀態が考えていたのと異なった事を强調していう場合.
(1) こんなにむずかしい問題が, 私にわかるはずがありません.
(2) その本は, そんなに高いお金をはらって買うかちがあるんですか.
(3) あの人があんなにひどい人とは知らなかった.

2. どんなに-程度や狀態ははっきりしないが, 非常に~だろう( ~でしょう), の意味.
(1) 子供に死なれた川田さんご夫妻(ふさい)は, どんなに悲しがっているでしょう.
(2) 希望していただいがくへ入れたがくせいは, どんなにうれしいだろう.

3. こう(そう, ああ)-このように, こんなに, の意味.
(1) こうけいきがわるくては, 倒産(とうさん)するかいしゃがふえるだろう.
(2) 彼の話がほんとうなら, 私もそうしてみようかな.
(3) 高木さんのように, ああ文句ばかり言っていては, 聞く方がいやになってしまう.

4. どのくらい(どのぐらい)-すうや量ははっきり言えないが, たくさん, の意味.
(1) 彼は日本語がこんなに上手になるまで, どのくらい努力(どりょく)したことだろう.
(2) どのくらい注意したら, うちの子は自分から勉强するようになるのだろう.

5. どれほど-「どれくらい」と同じ意味だが, 「どれほど」の方が改まった言い方になる. また, この場合, 反語の「か」を伴う.
(1) あの人にはどれほどお世話になったか, わからない.
(2) 子供のかえりがおそいので, その母親はどれほど心配したことか.

6. いかに

a. どのくらい, どれほど, の意味で, 强調を表す.「どんなに」の書き言葉.
(1) この仕事はいかにむずかしくても, 仕上げなければならない.
(2) せんそうのために, いかに多くの尊(とうと)い人命(じんめい)が失われたことだろう.
b. どのように, どんなふうに, の意味でも使われる. 書き言葉に多く使われる.
(1) 人生, いかに生きるべきか.
(2) このふけいきを, いかにしてのり切るかが問題だ.

7. そんなに-あまり, たいして, それほど~ない, の意味. 通例, 否定形を伴う.
(1) このカメラは, そんなに高くなかった.
(2) 先週は忙(いそが)しかったが, 今週はそんなに忙(いそが)しくない.

〔六〕數量が多い場合(1)
百パ-セントの狀態を表す場合.

1. すっかり
(1) どろぼうに寶石(ほうせき)をすっかり盜(ぬす)まれてしまった.
(2) 友達にすっかりなやみを打(う)ち明(あ)けた.

2. すべて-書き言葉に多く使われる.
(1) 株の暴落(ぼうらく)で財産(ざいさん)をすべて失(うしな)った.
(2) 取材(しゅざい)旅行の準備はすべて完了した.

3. ぜんぶ〔全部〕
(1) そこにあったケ-キは全部食べてしまった.
(2) その本はもう全部よみました.

4. そっくり
(1) 奧さんは遺産(いさん)をそっくり社長の母校に寄付(きふ)した.
(2) あの人は私の書いたしょうせつをそっくりまねした.

5. のこらず〔殘らず〕
(1) 子供の時, 茶わんの御飯を殘らず食べなさいと, 母に言われた.
(2) 山本氏のしゅうしゅうした美術品(びじゅつひん)は, 美術館(びじゅつかん)ヘ殘らず寄贈(きぞう)された.

6. みんな「みな」は書き言葉.
(1) その村にいた人は, みんな殺された.
(2) そのしけんの問題はみんなやさしかった

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